近年拡⼤している「推し活」経済に着⽬した「オシノミクス プロジェクト」をご存知でしょうか?
「オシノミクス プロジェクト」は博報堂DYグループの株式会社SIGNINGの、⽣活者発想で経営を考える研究開発・社会実装プロジェクト「HAKUHODO HUMANOMICS STUDIO」の活動のこと。「推し活=単なるコンテンツ消費」ではなく、⼈が能動的に熱中する⼼理と⾏動を「オシノミクス」という概念として提唱しています。
今回ご紹介するのは、その「オシノミクス」を紐解くために行われた調査レポートの第2弾!推し活の実態を明らかにするとともに、「推す」⾏動の裏にある⼼理や社会的価値について考察しています。
「推し活」とは何か?「推す」の裏にある心理とは?気になる調査結果についてお伝えしていきます☆
「オシノミクス レポート」から見えてきた「推し」と人々の関係性を深掘り!
「オシノミクス プロジェクト」では、「推し活」に関する経済⾏動の実態や⼼理を把握することを⽬的として、全国の10〜60代の男⼥を対象に、「推し」「推し活」にまつわる調査を実施。その結果、今や3⼈に1⼈が「推し活」を楽しみ、「推し」が⽇々の活⼒となっている実態が⾒えてきました!
インターネットコンテンツが普及してきて、「推し活」が人々の生活の一部となっている現代。しかし、実際にどのくらいの人が熱中しているのか、どのような心理的背景があるのかなどは、まだ謎に包まれている部分もあります。
そんな未知の部分を「オシノミクス レポート」が徹底解剖!調査からわかった「推し活」の実態についてご紹介していきます♪
【調査概要】
- ⽬的:「推し活」に関する経済⾏動を中⼼とした実態把握
- ⼿法:Web定量調査
- 対象者:10〜69歳の男⼥(全国)
- 調査期間:2023年8⽉5⽇(⼟)〜6⽇(⽇)
- 調査レポート:https://signing.co.jp/pdf/osinomics-report.pdf
<対象者条件詳細>
- 「推し活」⽀出あり層:1,200s ・「推しがいる」or「推しがいると思う」回答者/推し活への⽀出⾦額が⽉1円以上
- 「推し活」⽀出なし層:180s ・「推しがいる」or「推しがいると思う」回答者/推し活への⽀出⾦額が⽉0円
- 「推し」なし層:160s ・「推しがいる」or「推しがいると思う」⾮回答者
「推し」と「好きなもの」の違いは積極性!「推し」=応援、崇拝、お⾦をかけたいと思える存在
「推し」は「好きなもの」と⽐較して、応援したくなる、崇拝したくなる、お⾦をかけたいと思える、というイメージが⾼くなっているとのこと。
また、「推し」の方が「好きなもの」に対して熱量が高かったり、周りの人にアピールしたくなったり…、⾃分から働きかけたくなることが多いようです。
推し活は⽣活の⼀部!時間もお⾦も4割を「推し活」に費やす
可処分時間(※1)における推し活時間の割合を見ると、⾃由に使える時間のうち4割近く(平均38.8%)が「推し活」に費やされていることがわかりました!
経済面でも同様に、可処分所得(※2)のうち平均37.4%が「推し活」に費やされているという結果に。この数字を見ると、「推し活」はもはや人々の⽣活の⼀部を占めるものになっていることがわかりますね!
※1:睡眠や食事、トイレ、家事、仕事といった生きていくうえで最低限必要な時間を差し引いた、残りの時間のこと。
※2:収入のうち、税金や社会保険料などを除いた所得。自分で自由に使える手取り収入のこと。
熱狂的ファンからコンテンツ好きまで!6つのクラスターから⾒えてきた “推し⽅” の多様化
⼀⼝に「推し活」と⾔ってもその “推し⽅” は多種多様。ライブなどのイベントに積極的に通って「推し」との距離を縮めたい層から、⾃宅でテレビ番組や配信コンテンツを楽しみ「推し」を遠くから眺めていたい層など、多様化しています。
レポートでは推し活をする人々を6つのクラスターに分類し、推し活に関する価値観や⾏動を分析。私はライブやイベントにはあまり行かず、動画サイトなどで楽しむことが多いので、クラスター4のタイプでした。
自分がどのタイプに当てはまる、もしくは近いか、ぜひチェックしてみてくださいね♪
推しがいることで幸せに?幸福度の差は20pt以上
「あなたは今どの程度幸せですか」という質問に対して、「推しがいる⼈」(※3)の73.2%が「とても幸せである」「やや幸せである」と回答。それに対し「推しがいない⼈」は52.2%と、20pt以上差があることがわかりました!「推し」の存在は、ポジティブな感情や積極的な⾏動を⽣み出すきっかけと、幸せを感じる理由になっているようですね♪
※3:「推し活」⽀出あり層
能動的な⾏動を⽣み出すトリガーとは?「推し」という現象を構成する6つのコア⼼理
⼈々が「推し活」に熱中する原理を紐解くと、「応援」「紐帯」「探求」「所有」「共有」「憧憬」の6つのコア⼼理が⾒えてきたとのこと。それぞれのクラスターの詳細を見ると、「あぁ…確かに」と納得できる人も多いのではないでしょうか?
グッズを購⼊する、ファンクラブに加⼊する、推し活仲間と交流するといった様々な消費⾏動は、これらの⼼理の重ね合わせで⾏われていると考えられるようです。今は周りを見渡せば必ず1人は推しがいる生活を送っていると言っても過言ではない時代。当たり前のものとして認識していますが、こうしてしっかり分析することで心理的な背景が見えてきて面白いですね!
「推す」の裏にある⼼理や社会的価値とは?組織運営やマーケティングなど企業経営へのヒントにも!
調査結果や有識者へのインタビューから「推し」とは⼈々にとってどんな存在なのか、「推し活」という能動的な⾏動を⽣み出す源泉は何かを紐解いている「オシノミクス レポート」。これからの企業経営へのヒントとして、「オシノミクス」を⽣み出すための7つのインスピレーションや、8つのアクションも紹介されています。
「オタクが経済を回す」という言葉もありますが、個人的にも「推し活」のカラクリを紐解くことは、現代社会を知ることに繋がり、企業経営等においても役立つのではないかと思います。推し活が社会やビジネスの世界を変える日も近いかもしれませんね!
「HAKUHODO HUMANOMICS STUDIO」について
企業間の競争が性能や機能から⼈の体験価値にシフトしていく中で、企業経営や経済活動を⼈間らしさの観点から捉え直し「よりよい企業」「より豊かで望ましい社会の実現」を⽬指そうとする考え⽅を「Human + economics = Humanomics (ヒューマノミクス)」と捉える「HAKUHODO HUMANOMICS STUDIO」。
このコンセプトのもと、「⽣活者発想」をフィロソフィーにかかげる博報堂と「兆しからより良い社会の道標をつくる」をビジョンにかかげるSIGNINGの共同プロジェクトとして2023年4⽉に始動。“⼈間経済学スタジオ” として、レポート等の情報発信に加え、経営へのコンサルティング、事業サービス開発等の⽀援を提供しています。「HAKUHODO HUMANOMICS STUDIO」は、今後も多彩なテーマでの研究開発活動やソリューション提供を⾏っていきます。
【活動内容】
- 経営へのインスピレーション提供:レポート発信、ウェビナーやワークショップの実施、共同研究
- 経営へのソリューション提供:コンサルティング事業
- サービス開発:研修プログラム開発
- 今後の発信予定テーマ:贈与、位置情報経済、メタバース⼈類学など
株式会社 SIGNING について
2020年に株式会社博報堂DYホールディングスが設⽴したソーシャルビジネススタジオ。「社会課題解決×事業成⻑」をテーマによりよい社会への「兆し」をとらえた最先端の研究開発、社会実装と、独⾃のナレッジをもとにしたソリューションを提供しています。
- 企業サイト:https://signing.co.jp/
推し活は「一部の人の行動」から「なくてはならないもの」へ
アニメやアイドルはもちろん、舞台、スポーツ、動物…ありとあらゆる物やコンテンツが「推し活」の対象となっているため、自分の周りにいる人のほとんどが「何かや誰かを推している」という状況が生まれている現代。SNSを見ると自分の推し活事情を発信しているアカウントが数多くありますよね。
今回の調査レポートからもわかるように、ここまでくると「推し活」は単なる趣味の活動ではなく、「生活の一部」「なくてはならないもの」だと言えます。
「推し活」に絡めた施策を行う企業や店舗が増えているのを見ると、これからどんなふうに社会が変わっていくのか、ますます楽しみになってきます!自分も推し活を楽しむ1人ではありますが、社会やビジネスとの繋がりにも引き続き注目していきたいです♪