株式会社オプテージは、自社の格安スマホサービス「mineo(マイネオ)」において、auとのデータ通信および音声/SMS通信に対応した国内初のフルMVNO事業(音声フルMVNO事業)に参入することを発表しました。

この事業は、2027年度下期に開始される予定です。フルMVNOへの参入により、より柔軟なサービス設計や、今後お得なプランの登場などが期待されます。
例えば、この取り組みを通じて、mineoは音声フルMVNO事業者として、データ通信に加え、音声・SMS通信の自社設備提供、電話番号の管理、SIMの自社発行を行えます。これにより、かけ放題などの通話サービスや、独自性の高いデータ通信サービスを柔軟に設計し、海外ローミングといった付加価値を提供できるようになります。そして、フルMVNO事業によって、他社との競争力の強化を目指します。

そして、オプテージは、フルMVNO事業への参入に伴い、法人向けサービスブランド「mineo BiZ」において、共創型モバイルビジネス支援事業「MVNO Operation Kit」も2026年度下期より提供開始すると発表しています。
法人向けには異業種のモバイル事業参入のハードルを引き下げる「MVNO Operation Kit」も登場

2026年度下期より提供開始する共創型モバイルビジネス支援事業「MVNO Operation Kit」は、通信事業を本業としない異業種企業が、自社の顧客基盤とモバイル事業を融合させることで新たな事業を創出し、本業の成長を目指せるよう支援するものです。
実は、通信事業に参入するMVNO事業者は2024年度末までに約2,000社に達し、2022年比で約250社増加しています。この増加の背景には、IoT機器の需要拡大や、モバイル通信を活用した顧客接点の強化、本業との融合といった、流通、IT、金融、交通、エンタメなどの異業種におけるモバイル事業参入の魅力向上があります。
しかしながら、モバイル事業への新規参入には、多額のシステム投資に加えて、通信技術者やサポート要員などの人的リソースの確保という大きな課題が存在し、実際に事業検討やサービス化を進められるのは大企業などの一部に限定されていたのが現状です。
オプテージでは、この課題をMVNO事業の成長機会と捉え、異業種企業のモバイルビジネス参入障壁を大幅に引き下げることを目指します。そして、各社の優位性や顧客基盤と通信サービスを組み合わせることで、新たな価値を創造する「共創型モバイルビジネス支援事業」を新たに立ち上げます。
今回オプテージが展開する「MVNO Operation Kit」は、通信事業者に加えて、通信を本業としない異業種の企業もモバイルビジネスを展開できるよう、mineoは必要なシステムやノウハウを提供します。

通信回線、商品パレット機能、バックオフィス機能など、事業運営に必要な機能をパッケージ化し、導入・運営支援コンサルティングと合わせて短期間で提供。これにより、中堅・中小企業を含むすべての企業のモバイル事業への参入障壁を大幅に引き下げます。
「MVNO Operation Kit」でどういうことができる?

オプテージが提供する「MVNO Operation Kit」は、企業が自社ブランドで通信事業を展開することを可能にし、サービスの設計に高い自由度と柔軟性をもたらします。このキットを活用することで、通信事業の専門知識がない企業でも、自社の持つアセットや顧客層に合わせたユニークな通信サービスを創出できます。
あくまでも筆者が想定した具体的な活用事例としては、まずゲーム会社によるニッチな通信ニーズの獲得が挙げられます。スマートフォンゲームを開発・運営する企業がこのサービスを採用すれば、ゲーム内での特定の成果を達成したユーザーに対し、特典として通信データ容量や特別な料金プランを提供できます。これにより、近年増加傾向にある「ゲーム専用の2台目のスマートフォン」の通信ニーズを直接的に取り込むことができ、ロイヤルティの高い顧客層の囲い込みと、課金外での新たな収益機会の創出が期待されます。
次に、コンテンツ企業によるユーザー体験の向上も想定されます。大量の動画コンテンツや音楽ライブラリを保有する配信企業は、自社が提供する特定のコンテンツやストリーミングサービスを利用する際の通信量を「カウントフリー(データ容量を消費しない)」に設定し、その結果、ユーザーはデータ容量の残量を気にすることなく、いつでもどこでも快適にコンテンツを楽しめるようになります。これによって、サービス利用頻度の向上、配信サービスの解約率の低下、ひいては顧客満足度の最大化に貢献できることも考えられます。
さらに、IP(知的財産)保有企業によるファンエンゲージメントの深化も可能に。人気キャラクターやアイドル、スポーツチームなどのIPを保有する企業は、「推し活」需要の高まりを背景に、ファン層に特化した独自の通信サービスを提供できます。例えば、限定デザインのSIMカード、契約者限定のオリジナルコンテンツ配信、イベントチケットの先行抽選権を付与したプランなどが考えられます。これは、熱量の高いファン層に対し、通信というインフラを通じて独自の特典や体験を提供することで、IPへのエンゲージメントをさらに深め、コミュニティの活性化と強固な収益基盤の構築を可能にしますよ。
「MVNO Operation Kit」は、これらの柔軟なサービス設計を可能にするため、豊富な通信メニューの選択や、企業が保有するデジタルコンテンツ、物理的なグッズ、ポイントプログラムなどの自社アセットとのシームレスな連携、さらには他社のサービスや商品といったパートナー商材の活用を自由に組み合わせられる構造になっています。
通信事業への参入は通常、高度な技術的な専門知識と多大な初期投資を伴いますが、「MVNO Operation Kit」はこれを解消します。複雑な顧客管理、料金請求、契約変更などのバックオフィス機能をオプテージが一括して提供・代行することで、企業側のシステム開発・運用コストを大幅に抑制します。また、オプテージが持つ通信事業運営のノウハウとインフラをトータルで活用することで、通信事業に関する専門知識を持たない企業でも、短期間でサービスの設計から開始までを実現可能にします。このように、「MVNO Operation Kit」は単なる通信インフラの提供に留まらず、企業が持つブランド力や顧客基盤を最大限に活かし、市場に新たな価値を提供する独自の通信サービス創出を強力に支援するソリューションです。
音声フルMVNO事業参入の背景とは?

現状、多くのMVNO事業者(格安スマホ事業者)は、MNO(大手携帯キャリア)から設備の大半を借りてサービスを提供しており、一般的には「ライトMVNO」と呼ばれています。
オプテージでは、mineoは2014年のサービス開始以来、ライトMVNOという立ち位置ながらも、パケットをユーザー間で分け合う仕組みなど、独自のサービスを展開してきた経緯もあります。オプテージの意向として、特にデータ通信分野においては、柔軟なサービス設計で多様な顧客ニーズに対応し、ブランドステートメント「Fun with Fans!」のもと、ユーザーとの対話を通じて共にサービスを成長させていきたいとのこと。


今回、mineoが音声フルMVNO事業に参入することで、データ通信に加え、音声・SMS通信の提供、SIMの発行、電話番号の自社管理といった通信の中核機能を自ら担えるようになります。これにより、これまで以上に顧客ニーズに寄り添った音声サービスの設計が可能となり、データ通信と音声通信を一体として捉えた、より自由度の高い通信体験の創出を目指すとしています。
フルMVNO事業開始&「MVNO Operation Kit」スタートでビジネスの成長もサポートへ

フルMVNO事業への参入は、個人ユーザーのモバイル体験を大きく変える可能性があり、特に海外ローミングの利便性向上は画期的だと感じます。お得なプランやきめ細やかなデータパッケージにも期待したいですね。
同時に発表された「MVNO Operation Kit」は、モバイル事業参入のハードルを劇的に下げ、市場に活気をもたらすでしょう。特にIPホルダーやエンタメ業界にとって、ファン向けのユニークなモバイルプランといった新しい収益源と顧客エンゲージメント強化の大きなチャンスが生まれるのは非常に面白い動きです。モバイル市場全体の活性化に繋がる、今後の展開が楽しみなニュースです。
(取材:間野優希)