日常生活の多様化が進むにつれて趣味や興味関心も細分化され、各自が熱心に応援する対象も様々な方向に分散するようになった現代。ITが進展したことで細かな情報も手に入りやすくなった環境下において、「推しを応援する活動」が余暇の有力な過ごし方となり、資金と時間が消費されるようになっています。
そこで、朝日大学(岐阜県瑞穂市)の附属研究機関である朝日大学マーティング研究所(所長:中畑千弘)は推し活の実態を把握するための調査を実施。その結果、男女別や年代別であらゆる差があるという結果に…!
推し活の今がわかる調査レポートの結果や、分析内容を伝えしていきます!
「推し活に関する調査」の主な結果
半数以上が現在または過去に “推し” がいる(いた)経験を持つ
「現在、あなたには推しがいますか」 という質問に対して、「いる」が37.5%、「過去はいたが、今はいない」が14.4%と、合計で半数を超える結果に。「いる」を性別でみると、男性(29.2%)よりも女性(45.8%)のほうが16.6ポイント高いことがわかりました。
女性のほうが多いものの、年代別にみると低い年代ほど「いる」が高く、高い年代ほど「過去はいたが、今はいない」が高い傾向であることから、経年で “推し” が過去のものとなり、離れてしまう人が少なくないことも判明。対して男性は「いる」がいずれも3割前後。年代による傾向も明確にみられなかった理由は、簡単に “推し” から離れず、長く続ける人が多いためと分析されました。
この結果から、女性は若い時に “推し” がいても年代上昇とともに離れがち、男性は “推し” がいる人は少ないものの、長く推し続ける特性があることがわかりました。
男性は「アニメ・漫画・小説」、女性は「日本の有名人」が主な “推し” 対象
“推し” の対象ジャンルとしては「日本のミュージシャン、バンド、歌手」(31.7%)の割合が最も高く、他に「J-POPアイドル」(26.9%)、「日本の俳優」(19.3%)、「アニメ・漫画・小説のキャラクター」(16.5%)、「スポーツ選手」(14.9%)が高いという結果に。最近は韓国を中心に海外のアイドルや俳優を推す人も多いものの、上位には日本の有名人が並びました。
このうち「J-POPアイドル」は性別を問わず、有力な “推し” の対象となっていて、上位のうち「日本のミュージシャン、バンド、歌手」と「日本の俳優」は女性からの人気が高く、「アニメ・漫画・小説のキャラクター」は男性からの人気が高いことが判明。
女性では現実世界が “推し” の対象である一方、男性では仮想世界が対象となっています。「現在、あなたには推しがいますか」 の調査で男性はを長く推し続け、女性は経年で離れる傾向がみられましたが、こちらはそれぞれの対象が仮想、現実であることが影響していると分析。現実の人物は歳をとって変化(結婚、出産、老化、引退など)するため “推し” の継続が難しいとわかりました。
“推し” の平均ファン歴は7.11年、女性より男性のほうが長い
“推し” の平均的なファン歴は7.11年ですが、性別でみると男性(7.75年)が女性(6.70年)よりも長いことがわかります。男性は仮想世界が “推し” 対象であるため長い一方で、女性は現実が “推し” の対象であるため、ファンをいかに長く続けてもらうかが課題となります。
また男女とも高い年代でファン歴が長い傾向は見られず、18~29歳でも「15年以上」の割合が男女とも1割以上(15.8%と12.1%)を占め、50~59歳でも3年未満の割合が男女とも相当数(41.2%と50.0%)いるという結果に。年代に関わらず、ファン歴が短い層も長い層も相応にいて、推し始める年齢には制限がないことがわかりました。
今回の調査を通じて 朝日大学マーケティング研究所のコメント
日常生活が成熟した日本では、推し活は有力な余暇の過ごし方となっています。資金と時間を投下するモチベーションも強いだけに、受け皿となった業界には大きなメリットをもたらす機会となります。
今回の調査では、回答者の半数以上が “推し” を持った経験があり、大半が強い思いを持って応援していると回答しています。推しの対象は、人物に留まらず、アニメ・漫画・小説の主人公、スポーツなどのチーム、店舗や製品のブランドなど様々です。そして推し活のスタイルには性別や年代などの属性によって違いがあることがわかりました。
ファンとの絆を深めるためのマーケティング活動(=ファンマーケティング)の在り方が、ますます重要なポイントとなってくることを想像できる結果が得られました。
「推し活に関する調査」 概要
- 調査期間:2024年10月7日(月)~ 10月12日(土)
- 調査方法:朝日大学マーケティング研究所のパネル利用によるインターネット調査
- 対象者:居住地 / 関東(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)年代 / 20代・30代・40代・50代 性別 / 男女
- 回収サンプル数:480名
【調査データリンク】
- 推し活の実態編:http://marketing.asahi-u.ac.jp/wp-content/uploads/2024/12/202410.pdf
- 推し活の内容編:http://marketing.asahi-u.ac.jp/wp-content/uploads/2024/12/202411.pdf
- 推し活による日常生活への影響編:http://marketing.asahi-u.ac.jp/wp-content/uploads/2024/12/202412.pdf
朝日大学マーティング研究所「公開リサーチデータ」について
マーケティング研究所では、話題のサービス、消費トレンド、世の中の新しい動きを先取りした事象について、自主的に「トピックス・リサーチ」を実施し、調査データ集積のポータルサイトとして広くデータを公表しています。また、企業等からの市場調査の要望にスムースに応えるために、首都圏・東海圏など全国規模のモニターにアクセスできる仕組みを保有しています。
- 名称:公開リサーチデータ
- 調査レポート: 200本以上
- 詳細:http://marketing.asahi-u.ac.jp/data/
時代にあわせて多様化する推し活
推し活に関する興味深いレポートが発表されましたね!結果をみると性別や年齢別で差はあるものの、現代の推し活は対象も内容もかなり多様化しているので、これから先また変わっていきそうだなと思いました。
最近は「女性アイドルの現場で女性ファンのほうが多い」という声もよく聞きますし、「スポーツアニメがきっかけでリアルの選手を推すようになった」といった他界隈からのファン獲得もあるので、推しの変動というのも多そうですよね。
推し活の盛り上がりにあわせて、推し活ビジネスも加速している現代。この調査結果が数年後、どんなふうに変化していくのか楽しみです!